ゲーセンで出会った不思議な子の話

名作まとめ

か照れくさくなっちゃって俺はぎこちない。
でも彼女はそんなのおかまいなしで、

「ほらら~らら~らら~♪」(聖剣LOMのドミナの曲)などと鼻歌を歌う始末。
ご機嫌だったんだろう。彼女は普段からよく歌う子だった。
それ、聖剣だね!なんていつものように俺もつっこめず、

駅を抜けるとそこには迎えが待っていた。


680:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 21:01:14.81 ID:x9+/iUde0


ちょいと失礼。
晩飯を作ってきますゆえ、しばし離れます。
30~40分で復帰しますね。


701:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 21:54:02.83 ID:x9+/iUde0


迎えに来ていたのは、妹だった。
車で迎えにきてくれた。
「なんでアイツなんだよ…」
と思ったが、結果母親が来てもあまり変わらないので同じだった。

俺は彼女の荷物をずっと代わりに持っていたので、積みこむ。
俺「ごくろーさん」
妹「いえいえ」
彼女「こんにちは、わざわざありがとうございます。」
妹「こんにちはー」

妹は明らかにニヤニヤしていた。


705:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:00:44.01 ID:x9+/iUde0


妹「可愛いなー。同級生ー?」
俺「お前よりずっと年上だから」

彼女「いえ、全然気にせず接してくださいねw」
妹「こんな兄だけどよろしくお願いしますねー」

車内は女社会と化していたが、非常に和やかなムードで、
妹と彼女も気が合いそうな感じで俺は安心した。


709:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:08:33.88 ID:x9+/iUde0


車で坂をのぼる。
俺の実家はちょっと坂の上にある。
店がまったくないわけでもなく、いい感じの田舎だ。

家につくと、待ち構えていたように母さんが出てくる。
「いらっしゃい!遠くからお疲れ様」
彼女「いえいえ、よろしくお願いします。」
彼女は、こういうところで礼儀正しくて、当然のことながら少し驚いた。

気のせいか、母さんも妹も、よそよそしくて、落ち着かない感じだった。
無理もない。ダメ息子が急にこんな女の子を連れてきたら、
面食らうってもんだろう。


713:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:15:03.82 ID:x9+/iUde0


母さんと妹はまだ晩飯の準備中だったらしく、
彼女は手伝いたい、と言った。
俺は疲れてるんだから無理しないで、と言ったが、
どうしてもと言ってきかなかった。

俺「母さんエプロンあったっけ?」
母「あれがあったわよアンタのが」

彼女は俺が高校の家庭科で使っていたエプロンを身にまとった。
「どうかな?w」
恥ずかしそうにエプロンを着て彼女は言う。
俺「いいねー最高だよ。」


720:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:21:34.63 ID:x9+/iUde0


その様子を見て母さんと妹が俺の方を見て不自然にニヤニヤする。
俺は「ほっとけ!!」と心の中で連呼した。

彼女も台所についてできることを一生懸命手伝っていた。
うちの家族に混ざって、楽しそうだった。

俺はそれを横目に見つつ勝手口の裏口で一服していた。
俺も手伝おうとはしたが、アンタ失敗するから、と妹に阻止された。


724:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:28:36.27 ID:x9+/iUde0


その日は、カレーだった。
ウチのカレーはレトルトは使わず、スパイスとかも使って、
無意味に凝っているものだった。

みんなで食卓に着く。
俺は若干の気まずさを隠しきれなかったw

彼女「こんなに本格的なカレー、おうちで作れちゃうんですね~」
母「まーこだわりだすとキリがないのよね」
母さんは鼻高々だった。


725:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:30:35.15 ID:x9+/iUde0


彼女「おいしい!美味ですよこれ!」
彼女が笑ってそういうとみな口々においしいと言い出した。

俺「うん、やっぱりおいしいね。」
妹「たしかに美味、だねw」

ご飯が進みだすと、妹と母さんが動き出す。


728:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:35:55.72 ID:x9+/iUde0


母さんは、「うちの息子の何がよかったの~?」
とか笑いながら聞き出すし、
妹は妹で、彼女がオタ気質であることを知ると、
途端に自分の好きな漫画とかの話を振りだす。

彼女は彼女で、「わたし一発芸とかできるんです」とか
ワケの分からないことを言い出すし、そうするとうちの妹も悪ノリしだすし、

色々とてんやわんやなんだけど、楽しかったよ。
初めて食卓を共にしたのに。


729:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:37:16.93 ID:qqaCxJ9bO



幸せ過ぎて逆にツラい・・・


731:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 22:37:58.74 ID:WdAtM8AuO



ごくり・・・・(; ・_・)


734:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:42:02.65 ID:x9+/iUde0


そのあとも、妹が「今日は面白いテレビやってないから」と
言い出してアメトークのDVDを見だしたりした。

妹は終始馬鹿笑いしていて、
彼女も「正気ですか!?」とかケンコバのものまねを始めだして、
母さんがなんか果物食べる?と聞けば
彼女は味をしめて「正気ですか!?」と返したり、

いや、楽しかったんだよ。本当に。


737:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:48:51.19 ID:x9+/iUde0


夜も更けて、そろそろ寝る体制に入る。
彼女は、俺のベッドに寝かせてあげた。疲れてるだろうし、明日もあるし、
なにより体調を崩さないかすごく心配だったので、俺たちは早めに寝ることにした。

俺は毛布をしいて、床で寝ることにした。明日も、ある。明後日も。
明後日も、終わったら、その次は…?

夜になると途端に辛くなる。

部屋で二人になると彼女に言われた。
彼女「今日はすごく楽しかった。本当楽しかった。」
かみしめるように言う。


739:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:52:19.64 ID:x9+/iUde0


彼女と日常を共にしていると、あの病室に帰ることが途端におぞましく思えた。

でも、彼女はもっと、ずっと、帰りたくないんだろう。
俺は彼女に「楽しかったよ。今日は疲れたし、早く寝よう。」
とだけ言ってから、ずっと考え込んでいた。

母と妹に、病気のことを言ってないのが辛かった。
正直、俺も誰かに相談したくてしょうがなかった。


742:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 22:56:02.95 ID:x9+/iUde0


彼女も寝て、妹たちも部屋にいるのを確認してから、俺は勝手口に一服しに行った。
電話をかける決心をした。

 

親父に電話をかけた。
俺はもう、誰かに話さないとどうしょうもなく辛くなっていた。


748:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:05:31.72 ID:Qca1klCr0



文を綴る才能あるね。
ホントに上手いね。


749: 忍法帖【Lv=2,xxxP】:2012/01/16(月) 23:08:48.34 ID:RNSTcwT40



このあたりまえの生活が
できてることに本当感謝だ(T_T)


750:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 23:12:40.62 ID:x9+/iUde0


親父「おう、どうしたー?」
俺「遅くにすまん、実は…」

俺は、彼女のこと、彼女の病気のこと、今すごく不安なこと、
すべてを親父に赤裸々に離した。
男同士で、話したかった。聞いて欲しかった。

親父は多くは語らなかった。そして、俺に言った。
「絶対、最後までそばにいてあげろよ。つらいと思う。
でもお前が弱音吐いちゃだめだろ。
いつだってそばにいてあげろ、男と男の約束だ。」


753:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:14:10.69 ID:BtQKZFO00


>>750
お父さんの強さと優しさを感じた
いいお父さんだ、大事にしろよ


752:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:14:09.91 ID:xGHrZAy10



親父…


754:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 23:15:02.31 ID:x9+/iUde0


親父は古風で、頑固な人間だった。
そんな親父の言葉は、俺の胸に強く響いた。

 

絶対に最後まで一緒にいよう。何が待ってるか、分からないけど。
青臭い小僧の俺が一人でずっと抱えていたことが、
親父に話したことで、とても軽くなった気がした。


755:名も無き被検体774号:2012/01/16(月) 23:18:12.49 ID:txRiV3MN0



親父…


756:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:19:07.33 ID:zpt17khU0



いい親父で羨ましい


757:名も無き被検体774号+:2012/01/16(月) 23:19:42.78 ID:1T5A/N4b0



親父でかいな


758:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 23:20:48.60 ID:x9+/iUde0


俺は親父に話して、すっきりした。
部屋にもどると、さっきまでの不安が嘘のように、スムーズに眠りに落ちた。

気付くと、窓から明かりがさしていた。
実家の俺の部屋は一つの窓にカーテンがなく、朝日は入り放題なのである。
起きると、彼女は俺の机で何かをしているようだった。

俺は寝ぼけていて、状況を読み込めず、目覚めて彼女がいること自体に驚いた。


762:1 ◆WiJOfOqXmc:2012/01/16(月) 23:26:24.63 ID:x9+/iUde0


朝飯を食べて、いざ出かけよう、となる。
前々から話していたが、彼女はとりあえず俺の育った町や場所を見て回りたいのだという。
俺は本当に楽しいのだろうか、と若干の不安があったが、
彼女がやっぱりどうしても、というのでそうすることにした。

彼女「今日は一日動きまわるねー!」
俺「無理しちゃダメだかんね。」

俺は

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