150:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 15:11:57.37ID:qljtUMUh.net
店にはもう一人いた。彼女の妹だった。彼女の妹はなんと俺と同い年。縁を感じざるを得なかった。
それから夏休みに入った。夏休みになると流石に勉強しなければいけなかったからジジイと彼女に会う時間は減った。
1週間に2日だけ。その時を全力で楽しんだ。
夏休みのある時。
ジジイ「お前の歌な。なんか違和感あるんだよ」
歌は全て耳コピ。英語の意味なんて知らなかった。
五十鈴「私もかんじてました」
156:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 15:16:25.40ID:qljtUMUh.net
ジジイと彼女は考える…ふりをしてた。
ジジイがわざとらしく手を叩いて言った。
ジジイ「英語だ。こいつは英語喋ってねえんだ」
彼女も大きくうなずいた。正直文法英語は苦手だった。文系な俺は数学は論外だったが英語も少し苦手だった。
俺「あー確かにそうかも。英語苦手じゃけえ」
159:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 15:21:16.30ID:qljtUMUh.net
ジジイ「それじゃあ意味ねえじゃねえかwww」
ジジイはガハハと笑ってまた肩を叩いた。彼女の前でそんな1面見せたくなかったから恥ずかしかった。というより聞かせたくなかっただな。
ジジイ「それじゃあギターはだいぶ出来るようになったけえ英語を教えるか」
俺「は!?なんでここが学校になるんだよ!」
ジジイは手を出して首をゆっくりふった。
ジジイ「俺は学校教育みたいな情けねえ英語は教えねえ。発音と慣用句。これだけで英語は喋れる」
160:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 15:26:34.74ID:qljtUMUh.net
ジジイはそう豪語した。彼女はギターをポロンと弾いて
「めくらな私でも日常会話は出来るよ!頑張ろ?」と言ってくれた。この時始めて彼女が英語を喋れることに気付いた。
益々惚れたがジジイも英語を喋れることに驚いた。確かに発音は良かったけどまさか喋れるなんて…
かくして中学生の俺。ホームレスのジジイ。盲目の五十鈴。こんな変な3ピースはギターに打ち込んだのだ。
178:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:01:33.11ID:qljtUMUh.net
そこからは変な日常が始まった。ギターのトレーニングの前に発音の練習からだった。歌詞を見させられジジイと付きっきりで発声。恥ずかしい上に意味不明だった。
でも文法があーだとか単数がーとか全く無かった。ジジイ…発音上手い…何もかもジジイに負けたと思った。
夏休みの間ほとんどそうだった。そして夏休みが明けたとき、俺はこのトレーニングによって新な効果を実感した。
二学期が始まってすぐテストがあった。それなりに勉強してたから大丈夫だろうと思ったけど少し不安だった。
179:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:05:42.29ID:qljtUMUh.net
でもその時の英語のテストである変化がおきた。俺はリスニングが得意じゃなかった。
英語が分かる!聞き取れる!
自分でも恐ろしく解けた。結局蓋を開ければ学年3位までになっていた。
幸せだった。変な意味でのリア充。それも嬉しかった。人と違うことをしている自分も好きになっていった。
この結果に親父はもちろん姉貴やジジイ、彼女も喜んでくれた。彼女はCDをくれた。クリームという可愛らしいバンドのCDだった。
180:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:10:58.88ID:qljtUMUh.net
ここでクリームというバンドに出会ったことで俺はブルースの重要性を感じることになるのだがまあ詳しくは書かない。あんまジジイとの関係もないし。
ジジイはある時歌う場所を変えると言い出した。俺にはなぜか分からなかったが多分警察がチラチラうろついていたからだろう。彼女もそれに応じて歌う場所を変えた。
それは山の麓の公園。
ジジイは嘆きながら
「駅前のほうがもうかるんだがな…」と呟いた。
山までの彼女の行き道は俺が自転車で二人乗りすることになった。
クリーム(Cream)は、1960年代に活動したイギリスのロックバンド。メンバーは、ベーシスト兼ボーカリストのジャック・ブルースとギタリスト兼ボーカリストのエリック・クラプトン、ドラマーのジンジャー・ベイカーから構成され、しばしばスーパーグループの一つに数えられる。https://ja.wikipedia.org/wiki/クリーム_(バンド)
182:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:13:51.29ID:qljtUMUh.net
年が明けた。ジジイは結局一年間以上も俺にギターを教えてくれた。俺はあんまり上手くはならなかったが。
年明けすぐにジジイに会ったときこんなことを言い出した。
ジジイ「…俺はな。ホントは長居するつもりなんて無かったんじゃ」
俺「は?じゃあどがんするつもりやったんじゃ?」
ジジイ「旅から旅の根なし草。俺はずっとそうしてきた」
そう言われてあることが俺の脳裏をよぎった。そのまま伝える。
185:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:16:56.20ID:qljtUMUh.net
俺「…その前はなんしよったんじゃ」
ジジイ「その前って…ホームレスに旅人になる前っちゅうこと?」
旅人なんざカッコつけやがってw笑ってしまうぜw
俺「そうじゃ。なんかしよったんじゃら?」
ジジイは頭をポリポリ掻いて口を濁した。そんなジジイは珍しかった。というより一年間も一緒にいたがジジイの身の上話は全然してこなかったんだよ。
ジジイに興味が無かったわけじゃない。でもそれ以上にジジイから学ぶことが多かったんだ。
186:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:19:48.60ID:qljtUMUh.net
でも今度こそはジジイを吐かせたかった。このままじゃいつか壁になる。中学生なりに必死に考えた末だった。
俺「はっきしせえ」
ジジイ「あー!分かった!話す!こっちきい!」
いつもの小屋に行くと思えば全く別の方向に歩き出した。
俺「ちょお!どこいくんじゃ」
ジジイ「…黙ってついてこい!」
187:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:22:46.32ID:qljtUMUh.net
ジジイは悲しそうでもあり嬉しそうでもある何とも言えない表情で俺を連れる。
ジジイ「…お前、金あるか?」
俺「ジジイよりはあるわい」
ジジイ「ぬかせw」
ジジイと俺はひたすら歩いた。彼女はそこにはいない。連れていくと言えば今日は誘うなと言われた。
着いたのは市の外れの銭湯だった。小さな銭湯だが意外と新しかった。
ジジイ「…腹割って話そうや」
その時のジジイはいつもより数段若く見えた。
188:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:26:18.05ID:qljtUMUh.net
銭湯に入って身体を洗う。ジジイはにかっと笑ってジジイの背中を指差した。
ジジイ「お前、身体あらっちくれい」
俺「はあ!?嫌じゃ!」
ジジイ「ええから。損はねえぞ?」
俺「損しかないわいw」
そう言い合いながらも結局二人して洗った。親父以外と風呂に入るなんて始めてだった。中学の修学旅行は風邪で休んだしな。
ややあって湯船に二人で入る。客は他に誰もいなかった。
189:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:30:02.38ID:qljtUMUh.net
ジジイ「で?何から聞きたい?」
珍しくジジイからの質問。いや下らない質問は嵐のように受けたけど…
俺は経歴を追うことにした。
俺「生まれは?」
ジジイ「満州じゃ」
俺「は?」
ジジイは戦前の満州で生まれたらしい。戦争中に日本に来たという。
ジジイ「だからって俺は支那人でもねえぞ?根っからの日本人や」
ジジイはいつものおしゃべりになったがどこか面持ちが違った。ああこれは裸のマジの付き合いなんだなとガキながらに感じた。
190:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:34:37.02ID:qljtUMUh.net
ジジイ「頑張って大学まで行った。何回も死んだがましかと思ったが人生は楽しかった」
もはや質問はいらない。俺は黙って粛々と聞いた。
ジジイ「卒業して就職した。国鉄に入った。日本の立ち直りを支える誇りを感じながら仕事をしちょった」
ジジイ「その時くらいやな。日本に海賊レコード言うてな?アメリカのが入ってくんねん」
ジジイ「俺は音楽が好きじゃったけえしっかり買った。それにはアメリカの最新の音楽がつまっちょった」
193:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:38:34.05ID:qljtUMUh.net
ジジイ「あの子がお前に持ってきたこともあるやつや」
あの子は五十鈴を指していた。その時ロックの歴史ってことで色々借りたのを思い出した。
ジジイ「俺はチャック・ベリーに心をうたれた。感動した。俺はこういうのをやらないかんち思うた」
ジジイ「しかしなあ、ギター揃えていざっゆうてもな海賊レコードはな、音質が悪すぎるんや」
ジジイ「ザッザッ言うしな?それで最初は諦めた。お前とおんなじや」
そういってにっこり笑った。
チャールズ・エドワード・アンダーソン・ベリー(Charles Edward Anderson Berry、1926年10月18日 – )はアメリカのミュージシャン・ギタリスト。「チャック・ベリー(Chuck Berry)」の名で知られている。
ロックンロールの創始者の1人と言われている。
チャック・ベリーWikipedia
194:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/22(火) 20:42:58.86ID:qljtUMUh.net
ジジイ「俺はお前よりもっとひどいぞ?それから3年もギターには触れんかった」
意外だった。ギターが大好きだと言っていたジジイの話とは思えなかった。
ジジイ「しかしなあ、昭和の40に入るとな、周りにちょこちょこギターをするやつが出てきた」
ジジイ「その時に俺の嫌いな同僚がギターをこうたっち聞いた。これはやるしかないと思った」
なんか…ほとんど俺と同じきっかけな気がするんだが?言いたくてしょうがなかったがまだこらえた。
227:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/23(水) 23:06:48.62ID:GxcpOP6R.net
ギターを始めたての頃を思い出して目頭が熱くなった
234:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:13:14.69ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「やっぱり弾けね。絶対ひけないと思った」
ジジイ「それでもしっかり練習した。1日仕事以外はギターにぎっとったわ」
このジジイが真面目に練習?それだけで俺には不思議な感覚だった。
ジジイ「それでなある時レコードと同じように弾ける俺がいた」
238:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:21:46.57ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「といっても原曲の早さはすごかった。チャック・ベリーは意外とはやびきだぞ?」
またそしてにやっとした。仕事以外って国鉄って忙しいんじゃねえの?ガキの俺にはぼやっとした思いしかなかった。
ジジイ「それからちょっとして海外出張があった。行き先はイギリスだった」
俺の脳裏に不意によぎったあるバンド…
俺「ちょっと!それ何時の話?」
ジジイは笑って言った。
ジジイ「昭和36の冬から37の春。西暦は…」
ジジイ「1961年から1962年やな」
240:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:26:24.74ID:DX2dcY/Q.net
俺「もしかして見たんか?」
ジジイは顔をゴシゴシ。話をじらすな!
ジジイ「見たさ。ビートルズにたまたま来てたマディも見たさ」
マディ?そんなのは知らなかった。ビートルズを見たという衝撃。しかもデビュー前だと…?
マディとはマディ・ウォーターズのことでこの話を後に五十鈴にするとそっちの方を羨ましがっていた。
マディ・ウォーターズ(マディー・ウォータース、Muddy Waters, 1913年4月4日 – 1983年4月30日)は、米国のブルース・シンガー、ギタリスト。本名は、マッキンリー・モーガンフィールド(McKinley Morganfield)。シカゴにおいてエレキ・ギターを使ったバンド・スタイルのブルースを展開し、シカゴ・ブルースの形成に大きな足跡を残したことから、「シカゴ・ブルースの父」と称される。生涯に6度グラミー賞を受賞し[1]、没後の1987年にはロックの殿堂入りを果たした[2]。
その豊富で深淵な声、豪快なボトルネック・ギター、カリスマ的キャラクターで、ブルースの第一人者のひとりとなった。ロック界においても、ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、ロリー・ギャラガー、ポール・ロジャース、ジョン・メイオール、フリートウッド・マックなど、彼から影響を受けたミュージシャンは多く、その影響力は計り知れない。https://ja.wikipedia.org/wiki/マディ・ウォーターズ
241:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:30:07.43ID:DX2dcY/Q.net
俺「どのくらい!?」
ジジイは溜め息をもらして呟いた。
ジジイ「わりいな。ビートルズはあんまり面白く無かったんじゃ」
俺「は!?」
ジジイ「ギターは下手くそだし歌も下手。曲作りも単純でバカみたいな英語ばかり。ホントにイギリス人か疑ったよ」
ここまでビートルズをこき下ろした人間は後にも先にもジジイ以外見たこと無い。あ、2chではチラホラいたかもw
ジジイ「俺はマディやチャックに憧れたしイギリスでブルースを知った。出張から帰って来たら必死に耳に残った、目に焼き付いたフレーズを練習したさ」
242:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:30:56.83ID:dmT+I6ej.net
ワロタ
244:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:34:00.53ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「そうすると意外と弾けてた。上手くなるのが実感出来てた」
ジジイ「そうすると知りたくなるのがチャックやマディは何を元に弾いてきたのか」
ジジイ「そもそものルーツはなんだか知りたくなったんじゃ」
ジジイの指がチラッと映る。切れてるのか指の色が変色していた。
ジジイ「それから少しして俺は見合いをした。それで結婚した」
245:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:39:53.86ID:DX2dcY/Q.net
俺「あれ?ジジイ奥さんいたんか?」
ジジイ「ああ、俺にはもったいないくらいの嫁がな」
なんで嫁がいるのにホームレス?あっ…
ジジイ「その嫁は”よしの”といった。俺より3つ上でいい女だった」
247:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:43:04.30ID:dmT+I6ej.net
色々あったんやろな…爺さんも
248:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:44:13.77ID:DX2dcY/Q.net
1つのギターが頭に浮かぶ。そうか、あのギターはそういうことか。
ジジイ「よしのは俺のギターをよく褒めてくれた。俺はもう30になろうとしていた」
徐々にジジイの目が潤む。俺は気付いてないふりをする。
ジジイ「会社でも出世した俺が30だったか?確か課長になったはずだ」
今考えれば国鉄の課長に30でなれるなんて化け物だよなw苦労したと今なら分かる。
249:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:47:36.60ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「俺が出世した辺りで音楽雑誌にあるバンドが載った」
ジジイ「俺はその時流行ってたビートルズは余り興味無かったがベンチャーズは好きだった」
ジジイ「俺は基本的に技術力があるやつが好きじゃけえなw」
ジジイは大笑い。そうだったんだと言って俺も少し笑った。
ジジイ「クリームだった。最初はふざけた名前だなと気にもとめてなかったんだがな」
250:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:51:28.77ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「そしたらロック好きの部下がな、持ってきやがった」
ジジイ「1日だけ借りて聞いてみた。俺は分かったんだな。ブルースの大切さをな」
ブルース。ジジイがしてた音楽はそういうのか。五十鈴も時々ジジイのブルースは本物だと言っていた。ブルースの本物?意味が分からなくて気にもしてなかった。
ジジイ「益々ルーツを探した。30過ぎてバカやったさwww」
大きく笑うが目は真剣な目付きだったのを覚えている。俺はジジイにとってブルースはとても重要なものと察した。
251:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:55:42.03ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「するとな、海賊レコードの主人がやってくれたさ!ブルースを見つけてくれた」
ジジイ「主人はアメリカから来たといった。見つけるのに苦労かけたわw」
ジジイ「俺の初めてのブルースはサンハウスじゃ」
今なら分かる。ジジイは永遠にサンハウスの背中を追い続けたんだ。だってリゾネーターなんて使わねえよな?
ジジイ「よしのもカッコいいですねと言いやがる。男だったら女の為にギターを弾くもんじゃろ!?」
252:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 01:59:39.99ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「家ではギターばっか触ってたな。34にもなると子供が出来た。一人息子。子供はそれだけ」
子供もいたのか…尚更何してんだよ…
ジジイ「俺はあの時代を生きて幸せじゃった。それから色んなバンドが出た。ほとんど海賊を買うてな?音質がわりいわりい」
ジジイ「それでもブルースの影響を受けてるやつは片っ端から聞いた。フリーなんて死ぬほど聞いた」
ジジイ「いつか部下が話したことだがクラプトンやジョン・レノンは課長より年下ですよ?ってのはショックだったわ」
253:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 02:03:27.58ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「まあそれでもエレキは弾く気にならんかったわ。まあアコギは一人で出きるしな」
ジジイ「ある時よしのがプレゼントをくれた。今でも覚えてるわ」
ジジイ「38の誕生日。ギターをくれた。今も使ってるあいつだ」
あれそんなに古いのだったのかよ!?俺はびっくりたまげてたわ。
ジジイ「内緒でよしのなんて名前をつけた。ばれてたまるかい、恥ずかしいw」
笑ってはいるがとても嬉しく誇りにしているのが伝わる。俺のギターもそうなれば…そんなことを思った。
254:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 02:04:53.57ID:dmT+I6ej.net
エエ話やね
256:名も無き被検体774号+@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 02:07:11.28ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「そこでな?不思議な縁でな。大学の教授やっちくれいって誘いがあった」
ジジイ「俺が?なんて思ったさ。まあ面白そうじゃ、受ける。2つ返事じゃ」
今の感覚ではこのジジイねらーかよw何の縁でそうなんだよとか思ってた。
ジジイ「そして※※大学に行った。まあ母校だったしな」
あれ?どこかで聞いたことがあると思った。親父の母校だった。
268:イッチー・ブラックモア@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 22:09:45.85ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「それで40で母校の先生じゃ」
ジジイ「そうやな、今から30年くらい前じゃ」
ジジイは懐かしそうに語る。
ジジイ「そこのアコースティックギター部の顧問もした。あんま教えられんかったが」
ジジイが他に教えてる人間がいたのか…そもそも大学の客員とはいえ教授なんだからあんだけ教えるのが上手かったのかと納得した。
270:イッチー・ブラックモア@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 22:11:54.32ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「お前1つ勘違いしとるぞ?」
ジジイはにやっと俺を見る。
俺「何がじゃ?」
ジジイ「俺は昔は厳しかったんだぞ?めたらめっぽう誉めたりなんざしねえ」
衝撃だったな。これも。あんなに愉快で褒めちぎりのジジイが?厳しかった?ウソにしか聞こえない。
俺「ホントか?それ」
271:イッチー・ブラックモア@\(^o^)/:
2016/11/24(木) 22:14:59.41ID:DX2dcY/Q.net
ジジイ「なめられねえよう必死だったからな。大学生だろうと容赦はしなかったぜ?」
俺は口をポカン。
ジジイ「それから少しして、つーても昭和の終わりになった頃かな?」
突然悲しい顔をした。とても、とても胸に来る表情だったのを覚えている。
ジジイ「息子が死んだ。単に事故だったがな」
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