ホームレスにギター教えてもらった思い出

名作まとめ
1:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:00:51.99ID:y+NcPp2n.net
暇だからちょっと語らせてくれ
聞きたい人がいるかどうかは知らない。でもふっと思い出したから書く

書きだめはないのでごゆるりと待っててください



2:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:03:04.88ID:y+NcPp2n.net
この時俺は中二で…痛いやつ真っ盛りだった。

ただモテたいがためにってのと…姉貴がいて姉貴がベースをしてたから俺はギターを始めた

ギター自体は姉貴のやつを使ってた。もちろん全く弾けない。全然弾けない



3:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:08:00.65ID:y+NcPp2n.net
姉貴にも死ぬほど笑われたw

姉「ビートルズすら弾けないの?w」って感じで…悔しくて堪んなかった

姉貴はジャズばっか聞いてて正直メチャクチャ上手かった。

二人の共通項は洋楽好きってこと。ジャンルは全く違った。俺はこの時にわかで全然知らなかったけれど



5:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:12:41.52ID:y+NcPp2n.net
どんだけやってもコードチェンジが上手くいかない。ビートルズとかニルヴァーナとかメチャメチャギター簡単な曲すら弾けなかった。

それで結構すぐやめちったwww

ギターはインテリアと化してた。俺は音楽だけ弾いてギターは弾かないって日々が続いた。

因みに母は死んでていなかったけど親父はよくしてくれた。有名なゲーム会社に勤めててお金もあった。だからCDなんかは全部買ってもらってた



6:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:19:12.82ID:y+NcPp2n.net
そんでぐだぐだ過ごしてたら学校行事があった。その時だった。

うちのクラスのDQNがギターで弾き語りするっていう出し物をする事になったんだ。その時内心しまった!って思ったけど…

そいつ地味に上手かったんだよね。邦楽をしてた(確かtubeとか)んだけど歌も上手いしギターも弾ける。最悪だった。

俺のクラスはそいつを全面バックアップするってことに決まった。部活のやつは部活の出し物とかあったんだがいかんせん帰宅部だった…

俺はそいつのギター持ちになった



7:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:25:57.45ID:y+NcPp2n.net
DQN「ぜってー落とすなよ?落としたら殺すかんな?」

俺「分かってるよ…落とさんっちゃ」

ずっとこんな感じだった。こんだけ言っても俺より安物のギターだったんだけどなw

ギター持ちの仕事はかなり楽だった。でもものすごく悔しかった。学校行事でそいつは拍手喝采だった。先生からも受けがよかった

これでもう1回始めることにしたんだw



10:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:30:23.10ID:y+NcPp2n.net
インテリアと化してたギターを手にとって必死に練習…するはず無かった。それだけ意志が弱かったんだな、全然ダメ。

姉貴からはとうに見捨てられてた。俺はもうビーオタするだけの浮いた中学生になってた。

中二の終わり、俺は電車通学でいつものように電車に乗ろうとしてたんだが…いつもと違うんだな。

ストリートのミュージシャンがいた。俺はこんな田舎でなんになるんだ?金になるの?とか考えてた。よく見るとスーツはきてんだけど全体的にボロい。ハットも被ってるけどヨレヨレ。

こいつ…完全にホームレスじゃあねえか。

その時すぐ無視した。



11:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:34:21.20ID:y+NcPp2n.net
学校が終わってその日は珍しく友達と遊ぶことになった。俺ほとんど友達とかいなかったしなw

結構テンション高めで帰ったの。その時気付いて無かったけど、1回家に帰ってもっかい駅に行くとまだストリートのやつはいた。

こいつ何時間いるんだよ!?朝の8時に見て今夕方だぞ?って思ったのを覚えてる。

そのホームレスは意外とお爺ちゃんでそれもあってかギターケースには結構小銭が入ってた。

年を売り物にしやがって…それが最初の感情だった。ギター売れよwとかも思った



12:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:38:03.37ID:y+NcPp2n.net
チラッと見たとき目があった。うわっ最悪…

ジジイはにやっと笑ってイマジンを歌い出した。その時の俺がジョンレノンのシャツを着てたからだった。

俺「あれ?意外と上手くね?」

ジジイは声高々にイマジンを歌う。ギターは簡単なのは知ってたけど弾けなかったから羨ましかった。

気付いたらジジイの前に立ってた。ジジイはイマジンを歌い終わるとちょっとこっちを見て

「金」

とだけいった。





14:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:39:37.00ID:ZKv06bHc.net
じじいwww


13:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:39:15.95ID:k0OHj0bt.net
ワロタ


15:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:41:29.38ID:y+NcPp2n.net
俺「金?あーっと…」

ここで渡すのはなんだかしゃくだった。友達との約束ごとも忘れてジジイにいった。

俺「ビートルズ弾ける?」

ジジイ「あんなに簡単なの弾けねえやつおらんが」

カチンと来た。ビートルズを貶された気持ちにもなったし尚且つ俺の嫉妬が吹き出した。

俺「へー。ブラックバード弾けたら金やるよ」

ジジイ「…口の聞き方気を付けろい」

それでもジジイは笑ってたが。





16:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:45:38.97ID:y+NcPp2n.net
どうせ無理だと思った。いきなりのリクエスト。しかもブラックバードは意外と難しいというのをCD屋のマスターから聞いていた。

ジジイ「ブラックバードシンギン…」

めっちゃうめえ。ふざけんな。期待を返せ。あとものすごく発音がよかった。本家のポールより歌が上手い気がした。

チャカチャカずっと鳴らして演奏は3分ほどで終わった。

ジジイ「…で?」ニヤ

このにやけにまたもカチンと来た。

俺「じゃあ次はアクロス・ザ・ユニヴァースだ!」

ジジイ「へいへい…」

といってチューニングをし直した





18:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:46:58.97ID:ZKv06bHc.net
面白いwwww


19:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:48:51.16ID:k0OHj0bt.net
そのシジイは交差点で悪魔に魂を売ったのさ…w


21:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:52:13.00ID:ZKv06bHc.net
>>19
赤い目の悪魔さんちーっす



27:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:03:16.33ID:k0OHj0bt.net
>>21
誰が赤いおめめのトナカイさんやねんw

ロックの定義は人それぞれ難しいな



20:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:49:07.08ID:y+NcPp2n.net
ポンポン

その時チューナーを使ってなかった。俺は合わせるだけでもチューナー頼りだったのにw

俺「チューナー使わんの?」

ジジイ「…チューナーねえw」

弾けなかったら殺してやるとまで思った。マジで。

ジャラン…

完璧だった。完璧すぎてビートルズ聞いてるのすら恥ずかしいくらいの完璧。歌は上手いしギターに狂いはない。

ジジイ「…金」

流石にここで折れた。小銭入れから300円出してギターケースに入れた。

ジジイ「…お前中学生か?」



22:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:53:13.23ID:y+NcPp2n.net
俺「なんで分かったんじゃ?」

ジジイ「…額がショボい」

このジジイ、殺す。ジジイは笑うのを止めなかった。

ジジイ「お前今ビートルズきいてんのか?」

俺「ビートルズにニルヴァーナ。後はジョンのソロとか」

結構洋楽は聞いてると思い込んでた。でもジジイは鼻で笑って

ジジイ「…ロックってのを知ってねえなあ…」

ビートルズは大好きだったから腹立ったけどそれ以上にジジイに興味が湧いた。自然に怖いイメージは無かった



23:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 21:56:20.04ID:DlhNAQtv.net
んでんでんで


24:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:00:37.81ID:y+NcPp2n.net
俺「じゃあどんなんがロックなんだよ!」

ちょっとキレてた。まー痛い中学生だったししょうがないな。

ジジイ「まあ、待てや。俺はもうロックは飽きたんや」

俺「じゃあ何しよるん?」

ジジイはにやけて「教えられまっしぇーん」と言った。今でも覚えてるけどあのときの殺意。

ジジイ「…これくらい集まりゃいいか」

ジジイはギターケースをチラッと見て言った。確かに3000円以上あった。



28:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:03:17.62ID:y+NcPp2n.net
ジジイ「お前ギターすんのか?」

俺は痛いとこつかれたと思った。隠してもしょうがないと観念した。

俺「したいけど出来ない」

ジジイ「なんでや?」

俺「弾けんけえじゃ」

するとジジイはカッカッカッって笑ってすくっと立った。意外と背が高い。多分170以上はあった。

ポンポンと肩を叩かれ聞かれた。

ジジイ「弾けるようになりてえか?」

俺「…うん」



29:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:03:21.24ID:GbSu5LaZ.net
面白い


30:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:05:55.76ID:y+NcPp2n.net
ジジイ「…ほんじゃ」

といってメモになんかかいた。それは空き地の場所だった。

ジジイ「明日土曜やろ?今のガキは土曜休みじゃろうからここ来いや」

俺「は?」

ジジイ「ギターは必ず持ってこいよ」

俺「何時や?」

ジジイ「…朝や」

友達から誘われなくなったのは言うまでも無かった。



31:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:10:11.08ID:y+NcPp2n.net
次の日朝8時に起きて少しドキドキしながら仕度した。姉貴からはどうした?って聞かれたけど友達の約束ってことにして出て来た。

空き地には既にいた。というより…そこがジジイの家だった。間違いなくホームレスだった。その空き地には小さな小屋があって中には四畳半くらいのスペースが裏の山手にあった。

ジジイ「来たな?くそガキ?」

そういって頭をがしゃがしゃされる。

俺「やめえや!臭くなるじゃろ」

ジジイ「…お前元気やなあ…」

その時ジジイはジャージにシャツ1枚だった。



34:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:12:58.44ID:y+NcPp2n.net
俺「しかし汚いな…」

ジジイは笑っているばかりだった。そのまま裏の小屋につれていかれた。

ジジイ「ここはスノウドニアっちゅうんや」

俺「スノウドニア?」

ジジイ「この小屋の名前や」

こいつ頭おかしいと思った。ほんとにこのジジイは大丈夫なんだろうか?殺されないだろうかというドキドキが出てきた。

ジジイ「…おい、ギター」

俺「へ?」

ジジイ「ギターだよ、練習すんだろ?」



37:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:15:39.21ID:y+NcPp2n.net
そう言われて慌ててケースからギターを取り出す。ジジイのギターは野ざらしっぽかった。

ジジイ「へえ…ヤマハたあ良いもん持ってんじゃねえか」

俺「元は姉貴のじゃ」

ジジイははーん…といってまたにやけた。そこでやっと気付いた。

俺「ジジイのギター変なやつやな?」

ジジイ「お前ほんと生意気じゃな?」



39:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:18:52.36ID:y+NcPp2n.net
ジジイはそういってギターを取った。後に知ることになるがそれはドブロというアコギ(というよりリゾネーターギター)だった。

知りたい人は調べてほしい。俺はそのギターに興味津々だった。

ジジイ「これか?こいつは”よしの”じゃ」

俺「は?」

ジジイ「ギターの名前や」

なんでも名前つけるのか…ほんとに頭おかしいと思った。これまた後に分かるがジジイはなんでも名前をつけるクセがあったw


リゾネーター・ギター (Resonator guitar) またはリゾフォニック・ギター (Resophonic guitar) は、アコースティック・ギターの一種。

第二次世界大戦前、エレクトリック・ギターが跳梁する前に、ギターの音量を増大させるために考案された。「リゾネーター」(日本語ではレゾネーターとも)と呼ばれる、円形の薄いアルミニウム製の共鳴板をブリッジの下に取り付けた。ボディはブルースに使用される場合は金属製の物が多く、ブルーグラスには木製のものが使用される。 金属性ボディのものは当初のもくろみほど大音量を得る事は出来なかったが、音色に独特の響きを持ち、ハワイアンやブルースなどの、スライドギターを好むミュージシャンが多く使用した。ブルーグラスで使用される木製ボディは、大音量が得られるようになっている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/リゾネーター・ギター


42:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:22:07.60ID:y+NcPp2n.net
ジジイはドカッと座って俺を見た。

ジジイ「何が弾きたい?」

俺は色々迷ったが好きな曲を素直に言った。

俺「ヒア・カムズ・ザ・サン。これしたい」

俺はジョージハリスンファンだったのだ。ジョージのシャツなんて1枚も持ってなかったがw

ジジイ「…分かった」

この時少し目付きが変わった気がしたんだ。俺はジジイに続いて汚い座布団の上に座ってギターを担いだ。




43:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:26:39.96ID:y+NcPp2n.net
ジジイ「まあまずは焦るなや。キーから教えんぞ」

いきなり教則本を完全に無視だった。全くキーなんて言葉知らなかった。

ジジイ「…あー。キーってのはな?コードのベースや。簡単に言うとな」

それから基本音というのを教えてもらった。ジジイはやっぱり面白い人間だったが教え方も凄い上手かった。

焦らんでええ、手が小さいのはしゃあおまへんとか慰めの言葉をかけてくれてた。

まだまだ中学生。手が小さい上に飽き性だ。キー押さえるだけでつまらなくなっていった。そこでジジイの話題をふった。



44:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:27:38.28ID:gyD8gijJ.net
おれの音楽のスタートはThe EaglesのHotel Californiaだったなあ。




184:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/22(火) 20:13:59.78ID:dXC3WYt2.net
>>44
私もイーグルスのホテルカリフォルニアだった
弾けずじまいだったけどw



47:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:30:50.89ID:y+NcPp2n.net
俺「なあ?ジジイってなんでホームレスなん?」

ジジイ「…うっさいわ。ホームレスでもええやろ」

俺「何歳?」

ジジイは少し考えて「68」とだけ言った。正直ジジイジジイと言ってたが見た目はもっと若かった。このジジイが60代なのも信じられなかった。

朝9時から約三時間。延々キーを単音で押さえるだけをしていた。正直つまらくなっていた。

俺「なー、こんなんで上手くなるん?」

ジジイはクスッと笑って俺の肩を叩いた

ジジイ「お前、名前と年は?」



48:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:33:54.28ID:y+NcPp2n.net
俺はいきなりでなんでこんなことを聞くのか分からなかった。

俺「俺は俺。14じゃ」

ジジイ「俺はジジイ、68」

益々分からなかったけれどちょっと面白かったw

ジジイ「…54も違えばギターの歴も違うっちゅうことや」

そういってすくっと立っていきなり着替えだした。

俺「なんで着替えるん?」

ジジイ「…金」

また一言呟いただけだった。



49:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:37:03.65ID:y+NcPp2n.net
俺もすぐ見たいと思った。ほんとはどんな音楽をするのか気になったからだ。

俺「着いていってええか?」

ジジイ「…変な目で見られるからやめえや」

俺「遠くで見とくわ」

ジジイ「…そうか」

そういって俺は自転車。ジジイは歩いていつもの駅まで向かった。俺のギターケースはハードソフトだったがジジイはハードだった。

俺「ケース重くないん?」

ジジイ「…まだ若いけえの」



52:青南蛮 ◆BANBAN.Bj6 @\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:42:36.34ID:7Zkx0ptA.net
良いねー面白い


51:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:41:08.20ID:y+NcPp2n.net
スーツ姿に違和感しかなかったがスーツ姿でジジイは駅の前に陣取った。

ジジイ「…今日は焼き鳥だな」

俺「は?」

ジジイは無視してギターを取り出してチューニングした。そして筒状の変なガラスを出して歌い出した。

その声はとても力強くて、カッコよくて、渋かった。ジジイらしかった。ピックも使わずギターをバンバン叩きながら歌うのに俺は鳥肌がたちだした。

俺「ジジイ!」

話しかけても歌を途中で止めることはなかった。何度しても曲の途中で止めなかった。



53:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:44:27.85ID:y+NcPp2n.net
ジャラン…

ジジイ「なんや?うっさいのお…」

この曲の全てが知りたかった。訳の分からないことを歌っているはずなのにカッコいいだなんて今まで聞いたこと無かったからだ。

俺「なんや?今の曲?なんてタイトル?」

ジジイ「これか…これはなあデスレターっちゅうんや」

俺「デスレター?」

聞いたことも無かったし見たこともなかった。

俺「作者は?」

ジジイは既にまたチューニングしていた。それから少し音を替えてまたひきだした。今度は知ってる曲だった。



54:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:49:37.31ID:y+NcPp2n.net
俺「…スタンド・バイ・ミー?」

ジジイは結構大きな、でも優しい声でスタンド・バイ・ミーを歌い上げた。

すると会社員一人が金を落としていった。(確か会社員。記憶曖昧w)

ジジイ「…っし、仕事や」

ジジイはそれからずっと歌ってた。俺は途中で飯を食べにスーパーに買い物行ったりしてたがジジイはびくとも動かなかった。

ちょこちょこお金が増えていく。曲は知らないものから知ってたものまで色々あったが全てが洋楽だった。



55:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:52:34.83ID:y+NcPp2n.net
夕方になってもジジイは歌った。俺はそろそろ帰らないとまずいかなと思い出したときだった。

ジジイ「お前そろそろ帰れや」

まずい!顔にでたか?と内心焦った。でもそんな焦りとは真逆だった。

ジジイ「お前にやる焼き鳥はねえんじゃ」

そんなことかい。焦って損したわ。

俺「へー。帰りまーす」

すると後ろからジジイがボソッと呟いた。

ジジイ「…また明日来いや」



58:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 22:59:03.66ID:ZKv06bHc.net
おもしろい


59:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:03:31.84ID:XxVhB8L1.net
おもしろいな


60:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:03:58.75ID:y+NcPp2n.net
その次の日にも行った。またいた。

ジジイ「よおーきよったのお」

また前日と同じような日になった。三時間キーを単音で押さえるだけ。その日はちょっとリズムがついたが。

それから駅に行ってまたご飯の品目を言って歌い出す。最初に夜何を食べるのかを決めて歌うのだという。1日2食しか食べないとしってなんで死なないんだこのジジイと思った。

それからこんな変なジジイとのギター練習が始まった。

学校がある日はダッシュで駅を出てチラッとジジイを見てうなずく。ジジイはにやっと笑ってまたギターを弾く。これが今日は行くの合図だ。

といってもほぼ毎日行っていたんだがwww



61:青南蛮 ◆BANBAN.Bj6 @\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:04:56.65ID:7Zkx0ptA.net
これ思い出した




62:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:08:19.19ID:y+NcPp2n.net
ジジイが夕方少し早めに弾き語りを止めて小屋に帰った。それからは親や姉貴を心配させないために1時間半しかジジイに会えなかった。

ジジイはなんら嫌そうな顔せずにギターを教えてくれた。俺も一時間半しかないから真面目に練習した。

ジジイがしっかり褒めてくれてたからだ。間違っても

「あーそうじゃあねえな。こうだ」ってな感じで全然厳しくなかった。それでもサボらず練習した。

一軒家だったから音を小さめに家でも練習した。姉貴からは案外感心された。なぜかは知らない。



63:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:09:57.43ID:S7rApHjD.net
そんなに頻繁にホームレスに接触してたら、誰かに見られて何か言われそうだがな


64:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:12:50.12ID:y+NcPp2n.net
俺は覚えが悪くて何回もイライラした。それでもジジイは笑うばっかりだった。

ジジイは駅でかなり上手いギターを弾く。俺はそれをしっかり見ていたんだがな…

運指が速すぎて見えないんだなw初心者にあれは無理だわw

それから1ヶ月が過ぎた。やっとこさキーをマスターした。どこがどの音ってのを完全に覚えた。

俺「よっしゃあ!」

ホントに声が出た。ジジイからテストを受けてそれに全てオーケーをもらったのだ



65:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:15:53.54ID:y+NcPp2n.net
ジジイ「はっはあ!覚えたなあ!」

そうやって肩をバンバン叩かれた。少し痛かったけど嬉しくてそれどこじゃなかった。

ジジイ「それじゃあ次は曲に行くかあ」

俺「ホントかよ!?」

嬉しくて大声を出した。

ジジイ「バカッうるせえ。たまたま近くに家がねえからって人がいるかもだろ」

俺「す、すまね…」

ジジイ「…スモーク・オン・ザ・ウォーターや」

俺「は?」





67:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:17:53.31ID:ZKv06bHc.net
ディープの名曲


69:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:20:07.26ID:3RXJbbFj.net
期待


68:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:18:12.16ID:ZKv06bHc.net
アコギ始めて一ヶ月で既に折れそうな自分に一言


66:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:16:20.15ID:k0OHj0bt.net
大事なのはいかに音楽が好きで、その気持ちを維持する事心折れずに練習する事だよねー
テクニックなんて後で嫌でもついてくるからさー



70:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:20:35.25ID:y+NcPp2n.net
全くもって騙されたと思った。俺が弾きたいのはヒア・カムズ・ザ・サンだ。ビートルズに取りかかれると思っていたのだ。

その怒りを察したのかジジイはやれやれと言った顔でギターを取った。

ジジイ「こういうのをロックっていうんや」

ジャッジャッジャー

あ、知ってる。聞いたことある。簡単そうだな…でもなんでこれがロックなのか?それが分からなかった。

ジジイ「…とりあえず本家聞いてみい」

そういって俺の授業ノートをひったくって
“Deep Purple smoke on the water”
と殴りかいた。



71:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:23:55.91ID:y+NcPp2n.net
ジジイ「…聞いてみい」

その日はそれだけだった。家に帰って親父にテキトーに言い訳したあと聞いてみた。

俺「なあ親父」

親父「ん?」

俺「親父ってロック聞く?」

親父「有名どこだけな。俺はフォークのファンだからな」

俺はノートをこっそり取り出して聞いてみた。

俺「スモーク・オン・ザ・ウォーター?ってやつなんだけどある?」

親父は驚いた顔で椅子から立ち上がって笑った。

親父「お前もそんなん聞きたいのか」



72:名も無き被検体774号+@\(^o^)/: 2016/11/21(月) 23:27:52.45ID:y+NcPp2n.net
親父は和室に行って俺を手招きした。そこは立ち入り禁止の場所でこっそり入るとよく親父に怒られた場所だった。

そこにあったのはレコードプレイヤー。なんでレコードで聞くか分からなかった。

俺「俺の部屋にCDプレイヤーあるが?」

親父「バカ。それじゃダメだ。ダメなんだよ」

と無理矢理レコードで聞かされた。俺が始めて聞いたハードロックとなった。

「Deep Purple – Made in Japan」というアルバムだった。ライブ盤で今でも愛聴盤だ。





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