「あは。いっぱいします?」

名作まとめ

187: :2006/02/02(木) 01:03:50 ID:

確かに娘のほうは名前がないってのもいいね。 
名前出せば出したでいいんだろうけど、今のままでもいい。 

とにかく 
あは→ぜんぜんわかんないんですけど→ぺしぺし→顔真っ赤 
にキュン殺されたw 

>>171」これは史上最強のレスとなりうるであろう

>>178>>179>>187 
お互い名前で呼んだ事が殆ど無いので、文章にすると何度も名前書かなきゃで、 
違和感があるというか、何か恥ずかしいというか。とりあえずこのままで。  

196: :2006/02/03(金) 08:13:16 ID:

『カノジョ』と言う事になったとは言え、俺と彼女に急な変化がある訳ではなくて。 
とりあえず一緒にいて、同じ時間過ごしてた感じ。それまでと何ら変わらなくて。 
彼女が宿題持ってきて、一緒にやってたりで。一人っ子だからそんな経験無くて、新鮮で。 
俺は十二月半ばに冬休み入って、彼女はクリスマス直前から冬休みに入る。 
夏に彼女が誕生日迎えた時はそれどころでは無くて、今回は何かプレゼントでもと考えて。 
「欲しがってる物とかありますか?」ってお婆さんに聞いたら「着る物かねぇ。」って答えで。
じゃあそれで、みたいな事言ったら「そんな世話になっていいのかねぇ。」って心配されて。 
「いいんじゃないっすか、クリスマスなんだし。」とか訳の分からない事、言った気がする。 
でもいざ買うとなると俺一人で買いには行けなくて。クラスの女の子達に助け求めて。 
「一緒に買いに行かないの?」「それだと多分、遠慮するから。」泣き入れて。頭下げて。 
昼おごらされて。彼女の事聞かれて。動揺しまくって。からかわれて。反論して墓穴掘って。 
いかついとか怖そうとか、そう思われてたらしい俺のキャラは、その時完全に壊れた。 
結局、普通に着られる感じの物って事でいくつか選んで貰って、俺が最終的に決めて。 
ハーフコートとフリースとジーンズとで、たしか四万くらい。安い方、だったらしい。
197: :2006/02/03(金) 08:14:37 ID:

買って帰って。押入に隠して。彼女が押入開けたりする事は無いんだけど、近づくと警戒したりで。 
クリスマスイブにはお婆さんがケーキ買ってくれてて、三人して食べて。 
タイミングとか考えるのも面倒だったんで、その時彼女に普通に「これ。」って渡した。 
「いいんですか?」「うん。」「ありがとうございます。」そんなあっさりした反応で。 
部屋帰って少し時間があって。外したっぽい。そんな風に考え出した頃にドア叩いて。 
ドア開けたら、雪舞ってる中に上気した顔の彼女がいて。全部、着てくれてて。 
身長大体このくらい、で決めたサイズ、ちょっと大きめで。それが可愛くて。顔緩んだ。 
彼女の髪に乗った雪払って。「気に入った?」聞いたら何度も頷いてくれて。やっと安心して。 
部屋でコート脱いで、オレンジのフリースとジーンズ姿になった彼女。微妙に照れてて。 
「どしたの?」「こういうの、初めてだから。何か。」はにかんで、視線落として。 
「クリスマスとかも、久しぶりだから。」ちょっと湿った声になって、慌てた。 
頭に手乗っけて。「泣くなー。」先に言って。でもちょっと涙流れた頬、親指で払って。 
「泣くの禁止。」「嬉しいからだもん。」「それでも禁止。」「…はい。」無理矢理言わせて。 
よし。とばかりに髪撫でてたら、飛びつかれて。不意突かれて、受け止めたけど、よろけて。 
抱き締められて。「あは。もう少し。」が何度もあって。なかなか離れてくれなくて、困った。 
お婆さんにも、一日遅れですいませんと言って、フリースと膝掛けを渡した。 
「私にまでかい?」「クリスマスですから。」笑って受け取ってくれて。喜んでくれた。 
198: :2006/02/03(金) 08:49:06 ID:

乙。・゚・(ノД`)・゚・。 

おばあさん萌え

>>198 
そう来ますかw 

199: :2006/02/03(金) 09:02:25 ID:

こんなにレスとかいただけると思って無くて、正直驚いてます。 
返答が遅くなってすいません。 
204: :2006/02/03(金) 14:14:09 ID:

41氏のお話がハッピーエンドでおわるのかと 
毎日気になってしょうがありません。 
二人には幸せになってほしいです。 
274: :2006/02/10(金) 03:51:18 ID:

年明けからの俺は、毎日必死だった。施設実習が始まったから。 
医療系専門学校の介護福祉科。ボランティアでの単位取得と実習の連続で。 
一月中頃から二週間のボランティア。そしてその直後、二月の初旬に後期の定期試験。 
解らない事だらけの現場。頭に入らない試験勉強。かなりきつい状態で。 
受け入れ先は精神科の専門病院で。隔離棟入ると、身の危険感じるような状況もあって。 
人間相手の事だから、腹立ったり、いらつく事もあって。切れかかったりって事もあって。 
でも彼女の前で辛さや怒りを見せる訳にはいかなくて。家帰るまでに、何とか顔を元に戻して。 
家帰って彼女が来てくれて。「お帰りなさい。」その一言でやっと、和んで。緩んで。 
実習記録の整理してると、少し距離おいて、お互いの視界に入る所に座ってて。 
壁もたれて、小説とか読んでて。ふと顔上げると、目があったりで。多分、様子伺ってて。 
記録の整理して。試験勉強して。一段落。ノート閉じたら、近寄ってきて。横座って。 
話したり。話さなかったり。ぼー…っとテレビ見てたり。特に何するでなく時間が過ぎて。 
そんな何でもない時間が俺には大事な時間で。その時間を彼女が作ってくれてて。 
おかげで実習何とか乗り切って、試験の結果も出て。何とか踏みとどまる。そんな感じで。 
進級が確定した時は、虚脱して。「大丈夫ですか?」「大丈夫ですよね?」何度も聞かれて。 
「大丈夫。」何度も答えて。結局心配掛けてるなと、微妙にへこんだ。 
けどとりあえずの不安が去って、補修も無いし出席も足りてるしで気楽に学校も行けて。 
ちょっと抜けた感じの生活。俺は朝一の講義を取る必要が無くて、夜更かししてた。
275: :2006/02/10(金) 03:51:56 ID:

いつもは十時くらいには帰る彼女が、その日は帰らなくて。横で静かに本読み続けてて。 
ちょっと眠そうにしながら、時々、時計気にして。十二時回ったところで、立った。 
「あ、帰る?」「まだ。」壁に掛けてあったコートから何か、引っ張り出して。横、来て。 
「はい。」「何?」「チョコ。」「え?」「十四日になったから。」「え?」 
青い包装紙の箱受け取ってもまだ、合点がいかなくて。時計指さされて。確認して。 
「二月十四日。」「あ。」やっと理解して。ちょっと何か、固まって。 
「カノジョですから。」貰っていいの、とか聞く前に自分で言って。笑って。 
「これで私が一番、先。」「一番?」「お兄ちゃんが誰かに貰うかも知れないから。」 
「これ、後先って関係ある?」「あは。なんかやだから。」また、笑って。 
彼女がそう思うならそうなのかなと思って。「ありがと。」どうにかお礼言って。 
「ちゃんとお返しするから。」そう言ったけどちょっと首振って。 
「聞いてもいいですか?」「何?」「答えてくれますか?」「だから、何?」 
「答えてくれるんなら、聞きます。」「答える。」「じゃ、聞きます。」 
ちょっと間置いて。「私の事、好きですか?」探るように、聞かれて。 
「…うん、好き、だし、大切。」急激に乾いた喉からやっと声絞り出して。大きく息吐いて。 
何も言わずに、肩に頭、乗っけてきて。手、探られて。握って。汗ばんだ手が凄く暖かで。 
お互い言葉出なくて。何時だったか忘れたけど彼女の「あ。寝なきゃ。」って声に頷いて。 
彼女が部屋の中入るまで見送って。部屋で一人、チョコの箱見てて。開けられなくて。 
冷蔵庫にしまい込んで。色々考え初めて。頭グツグツ煮えて。殆ど寝られず学校行って。 
学校の女の子は俺にはカノジョがいると知ってたので、彼女が心配したような事は無かった。
276: :2006/02/10(金) 03:53:13 ID:

その時貰ったチョコは何か勿体なくて、食べられなくて。封も切れなくて。 
何日か冷蔵庫でご本尊のような扱いを受けていたのを学校から帰った彼女に発見されて。 
怒って珍しく大声で「何で!!」そう言ったきり部屋の隅座って、涙目になって。 
慌てて謝りながら彼女の目の前で食べて。その後も無視られながらの弁解に必死で。 
視線くれるのにもかなり時間かかって。口開いてくれたのは十時回った頃で。 
「マジ何でもするから、許して。」「…何でも?」「出来る事なら。」「本当にですか?」 
「する。するから。」「じゃ、もう一回聞きますから答えてください。」「え?」 
「私の事、好きですか?」まだ責めるような目で。一瞬躊躇したけど同じに答えて。 
「…好き。だし、大切。」その一言で彼女は頷いて、やっと顔緩めてくれて。 
「あは。安心しました。」その笑顔でまた、とんでもなく悪い事をしたような気分になって。 
思わず謝ったら「もう許してます。」そう言って、立って横来て。腕持って。 
「また今度聞きます。」「え?」「言って貰ったら嬉しいから。」ちょっと顔ほてらせて。 
頷いたら、やたら嬉しそうに笑って。またその顔で自分が悪い事した気分になった。 
いらないとは言われたけど、ホワイトデーには一応、クッキーを渡した。 
彼女は「食べなかったら怒りますよね?」そんな事言って。悪戯っぽく笑って。 
「何でもするって言うまで許さない。」そう答えたら「あは。ちょっと怖い。」 
何が怖いのか聞こうかと思ったけど、既にちょっと赤かったから、やめた。 
277: :2006/02/10(金) 04:00:32 ID:

『あは…』に萌え死にそうです(ノД`)
279: :2006/02/10(金) 07:05:46 ID:

最後の一行激萌! 
でも女からみると、お返しにクッキーってガッカリかも 
って思っちゃった。 
時代が昔だし、それは今の感覚かもしれないけど。 
女の子もまだ子供だし、そういうもんかな。 
続き楽しみにしてます!ワクテカ!
280: :2006/02/10(金) 08:18:51 ID:

41氏キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 
時期あっていて、すげー萌える 

>「あは。ちょっと怖い。」 
これ最強!(*´д`*)

284: :2006/02/10(金) 16:43:20 ID:

なんつー綺麗な物語だ
287: :2006/02/10(金) 20:57:24 ID:

41氏への出版社のオファーまだ?
395: :2006/02/18(土) 02:01:28 ID:

進級して二年生になった彼女は、お婆さんと毎日のように進路の事話していて。 
お婆さんは、高校くらいは出ていないと仕事探しにも苦労するのではと心配していて。 
彼女が小学生の頃から中学出たら働くと言っているのを、なんとか説得してと頼まれて。 
俺の言う事なら聞くかもしれないと言われて、その気になって。軽く引き受けた。 
それとなく色々話振ったけど、頑固で。とにかく早く中学出て働きたいとしか言わなくて。 
高校は出るのが普通。俺はそう思い込んでいて。口にはしないけど、変だとまで思ってて。
焦る事無いとか、しっかり考えてからとか、解ったような事言い過ぎたかもしれないし、 
他にも何か気に障る事があったのかもしれない。けど直接の引き金は、俺の無神経な一言で。 
「早く働きたい理由って何?」それで、彼女の顔からすっと表情消えて。 
「…おかね、ないからですけど。」抑揚の無い声で。冷たくて。細い針のような言葉で。 
真っ直ぐ見据えられて。返す言葉が無くて。思わず目をそらしたら、彼女も視線落として。 
お互いそのまま、動けなくて。彼女が黙って帰ろうとしても、言葉をかけられなくて。 
それ以来、進学とか就職の話は、俺には出来なくなって。お婆さんには謝って。 
お婆さんも、彼女が言った言葉を聞くと、辛そうで。言葉無くしてて。謝られて。 
まだ気変りがあるかもしれないから、とりあえず触れない。そんな感じで、先送りになって。
俺が手を出せる事じゃなくて。その力も無くて。情けなくて。浮ついていた気持ちも吹き飛んで。 
彼女が毎日、俺の部屋に来るのは変わらなかったけど、一緒にいても空気重くて。 
会話しててもぎこちなくて。謝っていいのか、それも解らなくて。部屋に居づらくて。 
なのに家帰った時、彼女が来てくれると安心して。そんな日が続いて。 
でも帰った時、通路にいた彼女が普通に「お帰りなさい。」そう言ってくれて。 
何日かぶりの事で。俺もなんとか「ただいま。」言えて。笑ってくれて。 
一緒に部屋入って。定位置にいつも通り座って。それでやっと、重さが少し散った気がした。
397: :2006/02/18(土) 02:05:56 ID:

家の事は彼女が置かれている現実で。多分、色々と考える事が多い時期で。 
あの時はまだ、俺みたいな他人に踏み込まれるのは嫌だったんだと思う。 
明確に一線を引かれて。その事に関してはそれ以上、知る事も拒否された感じで。 
どうにかしたくても、仕送りとバイトで生活させて貰ってた身ではどうにも出来なくて。 
まずちゃんと資格取って卒業して就職しよう。殆ど考えもしないで、そう結論出して。 
職に就いたからと言って、何か出来る事があるのかどうかは解らなかったけど、 
とりあえずそれに集中しようと言う、ほとんど逃避のような状態で、そう決めた。 
半月くらいすると、彼女とは元通りというかそれまで通り。表面的にはそう戻ることが出来て。 
俺がのんびりしてる時は必ず横にいて。色々話して。よく笑って。時々甘えて。 
たまに怒って、拗ねて。許して貰うのに時間かかって。でもそれも、甘えてるのと一緒で。 
結局は、ちょっとじゃれついてきたり、長居する口実。それはそれで、可愛くて。 
学校か実習行ってバイトして帰って、彼女がいて。その繰り返しの毎日はとにかく早く過ぎて。 
春先からもう就職活動の準備初めて、色々やってるうちに彼女の誕生日が近づいて。 
また何か、とは思ったけど今の状況ではどうなんだろうとそんな事考えてる時。 
不意に「お願いしていいですか。」なんて言いだして。それまでには無くて。ちょっと意外で。 
「何?」「行きたい所があります。」「どこ?」聞くと、お母さんのお墓で。 
命日には行きたい。けどお婆さんは「何度も泣きたくない。」と渋ってて。 
電車賃は貰ったけど一人で行くのは初めてだから不安で。いつ言おうか迷ってた。 
そんな事言われて。「行こ。」それだけ言うと、「よかった。」って、笑ってくれて。 
バイトの出勤表二人で見て、行く日はすぐに決まった。六月中旬の土曜。何日か前倒しだった。
404: :2006/02/18(土) 08:51:31 ID:

おー!41氏乙でーっす! 
少しづつ少しづつ深まっていく二人の関係。 
リアルに過ぎていく時間描写もイイ! 
これからの展開に超期待age 

コメント

タイトルとURLをコピーしました